プロフィール

写真:武藤一彦氏

武藤一彦(むとう・かずひこ)

ゴルフジャーナリストとして新聞、テレビ解説で活躍。2005年から夏泊ゴルフリンクス理事。2017年理事長就任。他に日本プロゴルフ協会理事、世界ゴルフ殿堂選考委員などを務める。

1964年報知新聞社に入社。ゴルフは国内ツアーはじめ全英オープンなど世界メジャーを取材。スポーツジャーナリストとしてボストンマラソン、プロボクシングの世界タイトル戦なども取材した。

中でも全英オープンゴルフは1977年、スコットランド・ターンベリーのワトソン・ニクラウスの"世紀の対決"以来、数々の名勝負を観戦。リンクスコースへの強い思い入れと造詣で知られる。
1939年生まれ、東京出身。立大時代はゴルフ部。

2019年9月 アーカイブ

夏泊ゴルフリンクスに開いた驚異のエージシューター田中菊雄の世界

本 田中菊雄の世界

 エージシューター田中菊雄さんのことは本コラムでも何回か紹介したが、田中さんのエージシュートは令和元年の9月19日現在、480回を数えたことをここでご報告しておきます。現在84歳の田中さんは71歳の時、70のエージシュートをやったのを期に14年間、エージシュートに挑戦。その数、ついに480の大台となり、達成コースは実に64コースに達した。

 エージシュートは自分の年令と同じか、それ以下のスコアで回ることを言いますが、健康で長生きしゴルフを続けていれば誰でもできる、ある意味、こだわりのゴルフの楽しみ方。だが、ホールインワンと違って、年令と同じスコアとなるとそう簡単ではないのは誰もが知るところです。プロの名手でも年を重ねれば体力気力の衰えが足を引っ張り、若い時のスコアは望むべくもないのが現実です。

 でも、田中さんにとっては、この年令との追いかけっこがいま、実にいい関係にある。そう,トシを重ねるごとにエージシュートがふえているのです。64コースで480回のエージシュートを年令別にみると79歳までの9年間で54回だったのが、80歳では年間50回と急増。以後年を重ねるごとに毎年、回数は増えつづけ83歳時には125回。そして84歳の今年は、来年3月3日の誕生日まで丸5か月も残しているというのに、すでに80回を数え、このペースだと自己の年間記録125回をはるかに超えるハイペースなのだ。

 田中さんには夢がある。「ギネスブックには生涯で2000回を越えるエージシュートをやっている人、102歳でエージシュートを達成した人の記録もあるが、世界一の長寿国・日本は、みんなが元気で長生きを目指すことがテーマとなっているいま、その先頭に立って頑張って行きたい」のだ。

夏泊を訪れた田中さん

 田中さんは今年も8月、夏泊ゴルフリンクスを訪れた。41,42の83で回りエージシュートをやった。夏泊には毎年夏に3年連続の挑戦だが、17年は初来場で39,38の77、さらりと回ったときは本当に驚いたものだ。だが、その翌年はスタート直後の2番、強い向かい風のパー3で池に2発入れる7で気勢をそがれ失敗している。夏泊は風次第で難易度は大きくぶれて大変なのだ。

 夏泊のエージシューターといえば、メンバーの溝江金吾さんという人がいらっしゃった。99年夏、73歳の溝江さんは60人のコンペのレギュラーティーから73、さらに4年後、77歳のとき76で5回目を達成している。その顛末はコースの会報誌「MARINA」(マリーナ)のコラム「たかがゴルフ されどゴルフ」に掲載されている。「今思えば、私が病気にならなかったならば、その病気がガンの宣告でなければ、エージシュウト(原文のまま)などあり得なかったと思う。弘前大学病院での闘病において、もう一度ゴルフをやりたい、もう一度グリーンを、緑のフェアウエイを駆けてみたいの一念がなければ、今日の私はなかったし、エージシュウトもなかったはずだ」とある。

 田中さんには年間230ラウンドをこなす体力がある。好奇心が強く、冒険心も旺盛だ。だが、59歳で大腸がんを20センチも切る10時間の大手術。78歳で白内障、79歳で前立腺と3回の手術を経験している。人生は照る日、曇る日。ゴルフの神はゴルファーに同じ試練を与え給もうのである。

2019年9月24日

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