プロフィール

写真:武藤一彦氏

武藤一彦(むとう・かずひこ)

ゴルフジャーナリストとして新聞、テレビ解説で活躍。2005年から夏泊ゴルフリンクス理事。2017年理事長就任。他に日本プロゴルフ協会理事、世界ゴルフ殿堂選考委員などを務める。

1964年報知新聞社に入社。ゴルフは国内ツアーはじめ全英オープンなど世界メジャーを取材。スポーツジャーナリストとしてボストンマラソン、プロボクシングの世界タイトル戦なども取材した。

中でも全英オープンゴルフは1977年、スコットランド・ターンベリーのワトソン・ニクラウスの"世紀の対決"以来、数々の名勝負を観戦。リンクスコースへの強い思い入れと造詣で知られる。
1939年生まれ、東京出身。立大時代はゴルフ部。

2018年10月 アーカイブ

ゴルフはノーベル賞に良いスポーツらしい

 今年のノーベル生理学・医学賞は京都大の本庶佑(ほんじょ・たすく)特別教授が受賞した。がん治療に人がもともと持っている免疫力を活性化させることで治療に役立てる道を切り開いた功労による。その記者会見が10月1日、行われるとこんなエピソードを明かした。
 肺がんの患者から感謝されたという話だった。「あんたの薬のおかげでまたよくなってゴルフができている」といわれた。聞けば「最後のラウンドも済ませていた」というゴルファーだった。本庶教授、実は大のゴルフ好き。「(その言葉は)どんな賞をもらうより自分はそれで十分だと思っています」というのだった。

 この一言で会見は俄然ゴルフに話題が流れていった。“いまやりたいことは”との問いかけに本庶さんは「エージシュート」と答えている。そのやり取りはテレビのニュースでもつたえられ、エージシュートを知らない社会部記者や医学担当者に「エージシュートは自分の年令以下のスコアで回るラウンドのこと。私は76歳なので76で回ればエージシュートであるが、今の実力では無理。年齢を重ねるこの先にチャンスがあれば一生で1度、やりたいと思っている」。京都の名門コース、京都ゴルフクラブの理事長でもある本庶さん、大いにゴルフを宣伝した。

 ゴルフはノーベル賞に良い影響を与えている。同賞受賞の日本人は今回で5人目である。2012年の山中伸弥・京都大教授が、12年、大村智・北里大特別栄誉教授とゴルフを愛好する科学者が連続している。いずれもゴルファーとして最高級の資質を身にまとわれてすばらしい方々だ。
 IPSの山中教授(56歳)は、今年の別府毎日マラソンで3時間25分20秒に自己記録をマークしたアスリートだが、ゴルフも80台そこそこ、70台もしばしば出す腕前。大村教授(83歳)は「寄生虫感染症の治療法の確立」による受賞で知られるが、その受賞の対象となった細菌は静岡の名門コース、伊東市の川奈ゴルフクラブのコース近くで採集した“世紀の発見”による。ハンデ5の腕前である。これに本庶さんも入れた3人だ。

 わが身に照らし反省も含め、いま身を引き締めている。ゴルフとは調子のいい日もあれば全く当たらない日もある。その人を知るには1日18ホールを回れば人格がわかるといわれるが、そう、調子の悪い日の方が多いから不機嫌、言い訳、八つ当たり、投げやりな態度、自嘲的な言動、、。そう、そんな姿をわが身と照らしたとき深く反省する人も多かろう。だが、わがノーベル賞受賞者には、今述べた、欠点は決してない、と言い切れるのである。
 なぜなら人生かけて受賞したノーベル賞。永遠の名前が歴史に刻まれるには調子の悪い日をすべて乗り越え、やってきて今日がある。一緒に研究する恩師、後輩に嫌な思いをさせず一切自己中心的な行動なく人生を謹んでやってきたのである。
ノーベル賞は絶対取れないが、ゴルフに良いに違いない。見習いたい。

2018年10月8日

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