プロフィール

写真:武藤一彦氏

武藤一彦(むとう・かずひこ)

ゴルフジャーナリストとして新聞、テレビ解説で活躍。2005年から夏泊ゴルフリンクス理事。2017年理事長就任。他に日本プロゴルフ協会理事、世界ゴルフ殿堂選考委員などを務める。

1964年報知新聞社に入社。ゴルフは国内ツアーはじめ全英オープンなど世界メジャーを取材。スポーツジャーナリストとしてボストンマラソン、プロボクシングの世界タイトル戦なども取材した。

中でも全英オープンゴルフは1977年、スコットランド・ターンベリーのワトソン・ニクラウスの"世紀の対決"以来、数々の名勝負を観戦。リンクスコースへの強い思い入れと造詣で知られる。
1939年生まれ、東京出身。立大時代はゴルフ部。

2013年10月 アーカイブ

夏泊リンクスの大改造計画

ー夢のティーグラウンドとグリーンの一体化ー

 東京の調布というところは新宿から私鉄の特急で15分。かつての田園地帯はいまベットタウン、流れる多摩川は東京湾まで20キロ。その町に住んで45年を過ぎようとしています。

写真:2013日本女子オープンゴルフ 宮里美香の2回目の優勝で幕を閉じた日本女子オープンゴルフがあった前週末は何かと思うことが多かった。開催コース、相模原GCへは木曜と日曜に出かけた。車で40分、ゴルフジャーナリストとしては、本当なら4日間いきたかったが、そうもいかない事情があった。同じ週末、家から15分のところにある味の素スタジアムで国体の陸上競技が行われた。東京では2度目の五輪が2020年、56年ぶり開催が決まったことは周知のとおり。先の東京五輪が開催された1964年、スポーツ記者としてスタートを切った私は、“駆け出し記者”としていきなり取材したのが陸上競技だった。大会後には種目を担当、以後10年ほど陸上記者を務めた。スポーツジャーナリストとして原点の陸上は常に目の隅にある。週末の残りの2日間は“味スタ”に足を運んだ。同じ週、ゴルフ専門TVチャンネルではプレジデンツカップ。世界選抜対アメリカ戦に驚異の新人、松山英樹が出場していた。早朝や夜中は海の向こうのゴルフを手に取るように見た。なにを伝えたいかというと、とても満足した。同時に世界は狭くなった、スポーツが身近になった、という感慨。しかし、待てよ?

 夏泊ゴルフリンクスに提案がある。10月半ば、恒例の理事会で次のようなことを皆さんと話し合いたいと思っています。つい、くだくだと思い出話となったのは、次々と開催されるビッグイベントのことだ。東京五輪はインフラを整備した大会で新幹線が走り高速道路が開通。国立競技場が作られ代々木には水泳プールや球技場が完成した。戦争ですべてを失った日本が復興をかけ施設の整備。そうした動きはゴルフに例えれば100数十しかなかったコースが一気に増えたのが五輪前後で現在2000コース。だが、それらが効率よく使用、利用されているか?といわれれば「ノー」である。大会を開催すれば観客があつまるのが、それ以外のとき効率よくつかわれているかといえば「ノー」。

日本一の練習環境をゴルファーの遊び場にする

写真:夏泊ゴルフリンクス

 夏泊ゴルフリンクスはゴルフ発祥のスコットランドを彷彿(ほうふつ)させる。1度来た人は“また来たい”という。私はそのとき、目が据わっている人はきっとまた来るな、と感じる。自分がいつもそうだから、、。
 速いグリーン、風、マウンド、バンカーやホールのうねりに苦労すると、戦略を変え攻略法を別のパターンにしたくなる。ゴルファーとはそうした“人種”である。たっぷりとある“余白”にクラブハウスとロッジが嫌みなくあり、遠く望む陸奥湾の海、秋のススキ、夏の緑と黄色、薄紅の花々のたたずまい、、なにより練習場は広く、試合でそのまま使えるベントグリーンとバンカーとアプローチゾーンはすばらしい。夏泊の練習環境は、これほどのものはほかに知らない。かねがね理事として鼻を引くつかせる(自慢すると誰でも鼻が勝手にヒクヒクと動く)整備された良い環境では、練習場付帯の練習グリーンで、これだけの仕上がったものは日本中でも夏泊だけであろう、と自負している。

写真:夏泊ゴルフリンクスの練習場 もう40年も前になる。全英オープンの取材で初めて英セントアンドリュースを訪れ大会翌日に初めてプレーしたときのこと、1番ティーの後ろが軽く刈り込んであってそこが練習グリーンになっていたのを見たときの驚きはいまも鮮明だ。大会では練習グリーンが別にあり選手たちが調整していたが、一般のプレーではティーインググラウンドの一部を刈り込んで即席の練習グリーン。その変わり身におどろいたものだが、なにも驚くに値しないのだった。ご存知のように1番ティーは18番グリーンと共有である。ティーを刈り込めばグリーンになる。英国では芝は育成しなくても自然が育てる。短く刈れば高速グリーンの出来上がりだった。そのグリーンの速いこと、しっかりしたフィーリングだったことはいうまでもない。
 夏泊リンクスを含め日本にその環境を持ち合わせているところはない。しかし、夏泊の練習場のベントグリーンは東京周辺のどの名門コースのグリーンと比べてもそん色ない、ということを強調したいのだ。セントアンドリュースが北緯56度、夏泊は北緯41度に位置するそうだ。気温、土質、風、、環境は北型。しっかりと上質のベント芝が育つ条件を備えている。

夏泊ゴルフリンクスはゴルファーだけのものではないみんなの広場

写真:セントアンドリュース 夏泊の好環境を、やってくるゴルファーにもっとアピールしたい。スタート前に行う練習環境の整備。そしてホールアウト後も存分にゴルフを楽しむ環境作りの整備だ。常々思うのだが、ゴルフとはラウンドすることとするゴルファーが日本には多いように思う。しかし、ラウンドする前、そして後にこそゴルフには楽しみがある。
 最近ルーティンということが言われる。ショット直前のウオーミングアップだけではない。打つ前の準備、タイミングや攻略への心構えを言うが、冷静な攻略,戦法があってナイスショットが生まれ、反省は必ずショットの後にするものだからホールアウト後の練習場はゴルフを楽しむための必須の要素であるはずである。
 唐突な私の夢がある。皆さんおどろくな。1番ティーをセントアンドリュース式の大きなエリアにしたらどうか。今の各ティグラウンドを拾いエリアにしパットもできるようにするのだ。
 10番は隣の18番とワングリーンでつなげてしまおう。インは10番からゴーイングアウト(すたーとしたら)、18番でカミングイン(帰ってくる)大きなグリーンは一つ、そこにティーとグリーンが共有される。

写真:ジュニア 近隣のこどもたちが遊びに来る広場。青森や三沢や遠く八戸のゴルフスクールの子供やゴルファ

2013年10月14日

▲このページのトップへ