プロフィール

写真:武藤一彦氏

武藤一彦(むとう・かずひこ)

ゴルフジャーナリストとして新聞、テレビ解説で活躍。2005年から夏泊ゴルフリンクス理事。2017年理事長就任。他に日本プロゴルフ協会理事、世界ゴルフ殿堂選考委員などを務める。

1964年報知新聞社に入社。ゴルフは国内ツアーはじめ全英オープンなど世界メジャーを取材。スポーツジャーナリストとしてボストンマラソン、プロボクシングの世界タイトル戦なども取材した。

中でも全英オープンゴルフは1977年、スコットランド・ターンベリーのワトソン・ニクラウスの"世紀の対決"以来、数々の名勝負を観戦。リンクスコースへの強い思い入れと造詣で知られる。
1939年生まれ、東京出身。立大時代はゴルフ部。

風で球動いても罰なし

2012年強風の1罰打廃止 ゴルフルールが変わった。
でも夏泊は前からやってたもん

 「そんなこととっくの昔にわかっていたこと、驚きません」ー夏泊のメンバーたちはきっとそういうと思います。
  ゴルフルールを決めるイギリスのロイヤルエンシェントクラブ(R&A)と米国ゴルフ協会(USGA)が10月末、来年2012年をもって導入するゴルフの新規則を発表、世界をアッと驚かせました。しかし、夏泊のゴルファーなら「さもありなん。前からうちらはやってたもんねえ」にんまり笑みを浮かべ目と目を合わせてうなずきあったはず。全然、驚かない。なぜなら8年前からやってたのだから。

 ニュースは「強風の1打罰廃止へ」「風で球動いても罰打なし」のゴルフルール改正で新聞も取り上げ、ゴルフの不公平ルールが改正されゴルファーには朗報、という内容。
  要約すると、新ルールは「アドレスに入った後に強風などで球が動いた場合に課していた1ペナルティーを罰打なしに変更する」というものです。御存じのように、これまでのルール(規則18-2b)では「プレーヤーの球がアドレスした後で動いた場合、プレーヤーはその球を動かしたものとみなされ1打の罰を受ける」とあるが、新規則では「球が動いた原因が選手になければ罰はなく動いて止まったところからプレーする」(趣旨)と変更されます。
  新ルールは2012年1月1日から適用されるため施行は来年。ゴルフルールの変更は4年に一回、オリンピックイヤーに大きく変えるのが慣例ですが、2012年がゴルフ発祥の地といわれる英国。ロンドン五輪ということ大いに関係があると受け取っていいでしょう。

 動いた球、特に風で動かされた球の処置は判断が難しく、アドレスをしていたか、していなかったかで罰がついたりつかなかったり、またその後の処置も元あった場所から打ちなおしたり、ボールが止まったところからプレーしなければならなかったり、とゴルファーには悩みの種。それが今度のルール改正で来年からアドレスしていても風が動かしたのならノーペナ、プレーはボールが止まったところからプレーする、に変わる。新聞は風の強いアイルランドの名手、メジャー3勝のパドリク・ハリントン選手の「強い風が吹くと球が動かないかとそればかりが心配だったが、これでプレーに集中できるし不公平な罰に怒らないで済む」という談話を紹介、おおむね好評だ。

  さて、夏泊です。クラブ競技や普通のラウンドでも採用してきた夏泊ならではの特別ルールが今度の改正とぴったり合致する。もう8年前!夏泊ゴルフリンクスでは!
  なにしろ日本を代表するリンクス。無風快晴ののどかな日和が一変、強風が吹くともうボールを打つどころではなくなる(※ことがある、と受け取って欲しい、でないと知らないゴルファーにそんな風が強いところでプレーするのはご免だ、と敬遠されてはこまるから。そんな日はめったにありませんから来てくださいね)
  よくあるのはグリーン上、パットしようとするとボールが“逃げていく”“マークしたボールをリプレースしようとしても風で動く”など、高速のハイスピードグリーンだからこそのケースが多発した。そのためプレー進行も遅れるなど問題が多かった。そこでできたのが既述の特別ルール。コース関係者によると2003年にできたものです。

 その実際はこうです。「パッティングの時、ボールのあるもっとも近いところにボールマーカーやコインを置いたままパッティングしてもかまわない」―。“ええーっ”と声が聞こえる。“ボールマーカーは球の真後ろにマークしなければならないのに、いーけないんだ”。さらに、「アドレス中、ボールが動いても無罰でボールマーカーからプレーを続ける」-。ボールを自分が動かしたのではなくても罰打を食う理不尽や悲劇を夏泊ではいち早く消化吸収し折衷案を提起し実行、実践していたわけです。どうです、世界にさきがけているでしょう?

 新規則は今年あと2カ月をかけて世界のプレーヤーに浸透させる。
 詳細はコースの掲示板、新ルールブックなどで明らかにされるが、今回の改正はプレーの不公平をなくし混乱を取り除くものと、大方のゴルファーに好評であることは、ここに改めてお伝えしないといけない。そして、英米のルールの総本山が、動かざるを得なかった裏には、夏泊のようなリンクス、世界中の風もペナルティーの内と決め、ゴルフの厳しさに耐えた、つまり、大方のゴルファーの総意があったことも伝えたかった。R&Aは「一般常識や近年の競技の変化を反映しながらルールは発展している」と述べたが、新ルールは間違いなくゴルフを進化させたと受け止めると強風にまつわる話だが、心がほのぼの温まる。

2011年10月31日

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