東北アマ最終日
ぽっちゃり王子、古田幸希が見事な優勝を飾り成長を見せるともう一人、「ぼくもがんばったよ」と名乗りを上げたのは岡部大将。難コース、夏泊ゴルフリンクスは神が与えし試練の場ですが、今回、ゴルフの神様はたくさんのハッピーな出来事をプレゼントしてくれました。
震災からの復興に向け注目の第46回東北アマチュアゴルフ選手権は10日、青森・夏泊ゴルフリンクス(7096ヤード、パー72)で最終ラウンドを行い、6打差リードのぽっちゃりこと古田幸希(東北福祉大1年、十和田国際)が3アンダー69、通算9アンダーとただひとりアンダーパーをマークする圧勝で2年連続3度目の優勝です。2位との差、17ストロークは1997年の星野英正(現プロ)と並ぶ大差レコード。18歳、東北福祉大1年生の古田にとっては初のビッグタイトル。真のトップアマに向けた新たなスタートの始まりです。
○ぽっちゃり王子の再スタートが始まる
さらに大会は7月のアマ日本一を争う東北代表、13人を選ぶ日本アマ選手権(7月5~9日、愛知・三好CC西)の予選も兼ねこの日、古田をはじめ上位13人を選出しました。その中で8位で通過の岡部大将は4月に行われたマスターズトーナメントの“もうひとりのヒーロー”です。
御存じのように今年のマスターズでは東北福祉大2年、19歳の松山英樹が27位に入り日本人として初のベストアマの快挙をあげましたが、このときただ一人の味方、キャディーを務めたのがだれあろう岡部君。同じ大学の同学年、同年齢、大の仲よし。今回はプレーヤーとして存在感をみせると、きっぱり言ってのけたものです。「こんどの日本アマでヒーローになるのは僕。松山と決勝を戦い勝ちたいですね」
神の与えしプレゼントとはひょんなところから生まれ出るものです。今大会は名物の強風が影をひそめ風にほんろうされる厳しさはありませんでした。夏泊のメンバーたちは口々に「こんな穏やかな表情を見せたコースを見たのは開場以来はじめてじゃないか」と驚いたものです。何かが起こりそうな、そんな雰囲気の中、神の取り出したのは古田と岡部のナイスストーリー、良い物語の始まりです。
優勝者の古田は「大量リードで負けられないというプレッシャーを乗り切れた。これからもっと自信が身につくよう、ちゃんとした実力に変えたい」この春から宮城・仙台で大学の寮生活。
「今大会は4日間で10アンダーを目指し、残念ながら目標に1打足りなかった。でも最終日はノーボギー,60台のスコアもだせた。大学生で初の優勝は自分が変わったということを知ることになった」おごらず、高ぶらず、つまり大人の古田の誕生です。今後期待できるとここで断言します。
父でコーチの修一さん(58歳)も「球拾いのアルバイトや団体生活の中で人生経験を積み始めたばかり。そういうなかでゴルフをやる一生懸命さが実った」と目を細めていました。
○マスターズのナイスコンビが対決する日本アマ選手権
岡部と松山は大学1年の春のリーグ戦合宿で一緒に回り以来すっかり仲良くなったといいます。
「飛距離も一緒、距離感の感覚も合う。互いに比較し参考にできる」300ヤードを飛ばすパワーゴルフ。欠点を正し長所を伸ばす、お互いをそんな間柄と認め合ってマスターズまで一緒に出かけた。つまり一心同体とはこのことだ。
「マスターズでは、松山がクラブに迷ってどれにしようか」「俺ならこれをつかうけど」「じゃあそれでいこう」と世界一を射止めたという。
ところで困ったことがおきている。岡部が日本アマ出場を決めたことで松山はラッキーキャディーをうしなったわけだ。
そのことをいうと岡部、ハハハ、と笑っていった。
「マスターズで松山も僕もみんながやらないことをやった。あいつはローアマ、ぼくはキャディーとしてマスターズを現場で見た。目の前でみんな見ることができたのは僕だけです。経験は僕の方が分厚い」
日本アマ選手権ではその“経験”を生かしたい。7月の対決が楽しみになってきた。ゴルフの神様、いいドラマを用意していただいた、ありがとうございま~す。

